


今回は前回のウラジロガシの近く、 船上山の標高480m付近にある幹周り5.0mの トチノキです。
これぐらいのサイズのトチノキは特段に大きいわけではありませんが、この木は地上2mで5つに分岐直立しているため、遠目には5本の木が並んでいるよう見えます。元の太い部分はササに埋もれているのでごく近くまで行かないと1本の木だとは分からない、まさに“隠れた巨木”です。
“エージェント左近”が“どこでも黒電話”で話を聞きました。
--Howdy tricky guy!--
「わしが生まれたんは、まんだここが“県”でなしに“国”だった頃だわいな。この辺はわしが生まれる前から人間がよーけ行き来しよったらしい。“ミカド”ちゅうのも来たことがあるらしいで。なんせ、前は“ふなのえ”さんによーけ人が参りよったけぇな。」
--往時、船上山は山岳仏教が栄え、伯耆三山と呼ばれていた。中世には後醍醐帝の捲土重来の地としても知られる。--
「下には鉄山師や木地師が住んどって、ちいとずつ木ぃ切っていきよったわいな。そがな時分はわりとのんびりしとったけどなぁ。」
ーー今も近くの集落は木地師の姓“小椋”が多い。というか、ほとんど。--
「80年ほど前にわしのすぐねきに森林鉄道が出来て、がぁいに様子が変わってなぁ。地元の衆(木)がみーんな伐られて、炭に焼かれて、よそへ持っていかれたがな。そんで、こんだぁ、よそから持って来られたスギとヒノキが植えられて、今みたいな様子になっただがな。」
--森林鉄道は総延長8km。昭和30年頃まで運用。現在は跡だけが残る。--
「わしらはまんがよーに残されて生きのびとるだがな」
現在、このエリアは特別地域として保護されているため、今後大きく改変されることはないと思われる。昔みたいにのんびりと生き永らえてもらいたい。Wood luck!
by Tocky