


今回は沖ノ山のホオノキです。標高1200m付近の古い森に根を張る、幹周り3.2mの巨木です。
ホオノキは県内の山地にはよくある陽樹ですが、巨木サイズのものはごく稀です。しかも、この木は枝張りが20mを越える豪壮さです。
エージェント“右近”が話を聞きました。
--Howdy superb guy--
「わしによう気が付きんさったなぁ。たまに近くに来るもんはおるけど、べつに気にすりゃーせん。」
-- 周辺には幹周3~4mのブナがひしめいている。多くの人はこのホオノキの幹を遠目に見ても、周りと同様、普通にブナがあると思って素通りすることが多いだろう。--
「わしは長いこと、よそもんを追い出して生きてきたけぇなぁ。今、ライバルの木ちゃあなのはおらせんが。」
--ホオノキにはアレロパシーがあるため、他の植物を抑制して場所を独占する性質がある。--
「だけど、最近はわしよりもよだきいのがおってなぁ、草も木もみーんな食ってしまうのがおるんだけ。」
--例の如く、ここもシカの食害がひどくて林床の植物は極めて乏しい。--
「大きな木はよーけおるけど、まーじきみんな寿命がくるけぇな。その後はどがにんなるだらーな。」
--このままだと裸地化の可能性もある。仮にシカが居なくなったとしても、食害があまりにも長く続くと、シードバンクが失われて、植生回復は難しくなる。--
ここのように大きな老木だけが散在する森では“豊かさ”や“心地良さ”を感じることが出来きません。
植物の世界も人の世界も多様であることが肝要なのでしょうね。Wood luck!!
by Tocky